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●職人のつくるガラス
今はほとんどが機械で作られるガラスにも、かつて、自らの技と肉体とで“機械”と競い合った“職人”の時代があった。そこでは“美術工芸品”でなく、今では機械生産やプラスチック製に代わられた“実用ガラス”が作られていた。食器、容器瓶、ランプのホヤ、照明器具、尿瓶などの医療用ガラス、温度計や金魚鉢など、あらゆるガラスが、職人の“息”で作られた。
僕はそう云う時代の、最後の現場でガラスを学んだ。そこでは、“職人”が精密、正確に、粘り強く、機械の様に製品を作り出していた。そのガラスに僕は、“機能美”を超えた美しさを見つけた。 無機質の素材であるガラスにも人の息遣い、自然と同質の揺らぎ、時間の流れがやどる。
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●暮らしの中のガラス
砂を熔かしてガラスを作る。
水にも味があるように、無色透明のガラスにも個性がある。 ひとつひとつ人が吹いて作るガラスには時が刻み込まれている。同じグラスを作っていても 同じ物は出来ない。この世界では同じ時は繰り返さないから。 特別変わった事もなく、同じ事の繰り返しの様な毎日でも同じ一日はない。その中にふと気付く美しく味わい深い時がある。 日々の暮らしで使われるガラスには、その時々の光が映り込んでいる。 ガラスに映る光の変化が、時の流れの美しさを知らせてくれる。 |
●渓流のグラス
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